建設現場DX、完全無線化によりネットワーク構築時間を8割削減

就業人口の減少や労働時間の規制に伴い、生産性向上がいっそう急務となっている。建設現場においては今、施工ロボットや現場管理アプリなどのICT(情報通信技術)機器群を接続するインターネットデータ通信網が必須となっているが――

①現場外からの光ファイバーケーブル配線、②現場内でのLANケーブル配線、③現場内各フロアでのWi-Fi基地局設置に多大な手間のかかることが新たな課題になっているという。竹中工務店は今般、最先端の通信技術を組み合わせ、建設現場((仮称)アクサ札幌PJ新築工事)においてデータ通信網の完全無線化を実現し、建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)に不可欠なデータ通信網の構築にかかる時間を約80%削減した。

Starlinkによる建設現場内への無線インターネット導入。パナソニックシステムネットワークス開発研究所製ecdiによる建設建物フロア間の無線ネットワーク構築。ソフトバンクの建設業界向けsXGPによる各フロア内の広域無線ネットワーク構築。これらエッジの利いたテクノロジを活用した、作業所における実証実験により、上記①②の有線ケーブル配線を不要とし、③の基地局数と設置手間を減らすことで、データ通信網の完全無線化を果たした。

今回の技術群構成は、工事の進捗に伴うケーブル盛り替え手間の削減、断線事故の防止にも役立つ。なお、建物規模にもよるが、建築面積5,000㎡・20階建・利用期間2年を想定した場合、LANケーブル配線を不要とし、基地局数と設置手間を減らすことによって、データ通信網構築にかかるコストを30%程度削減することができる――と試算している。

竹中工務店は、データ通信網の完全無線化の実現により、建設現場の生産性向上に寄与するとともに、今後は実用化に向けて上記無線技術をパッケージ化し、多くの建設現場へ普及・展開することで、建設業界全体のDXに貢献していく考えだ。