2025年には65歳以上の人の1/5が認知症になると推定されている(内閣府「高齢者の健康・福祉」)。しかし現在、コロナ禍の影響により、外出を控える高齢者が増えている。デイサービスを受けられず運動機能が下がれば認知機能の低下を招く恐れがある。リモートツールや動画配信の活用が始まっているものの、画面越しでの状態把握は難しく、一方的な情報伝達に留まってしまい、適切な療法を実施できないことが課題になっているという。
順天堂高齢者医療センターと富士通は、通所介護サービスの利用が困難な高齢者の運動・認知機能の低下を防ぐ遠隔デイサービスの実現に向けて、オンラインで心身の状態を精緻に把握し、運動療法および芸術療法の提供から療法中の見守りまで幅広い支援を可能にする、システムの有効性を検証する共同研究を2月2日~3月31日に行う。
今回、運動時の動画から身体の骨格座標や関節角度などを推定するAI技術や、画面上の表情から感情などを推定する表情認識AI技術、慣性センサーのデータから歩行特徴を抽出するデジタル化技術など、高齢者一人ひとりの状態に合わせた運動療法や芸術療法に必要な様々な技術を組み合わせたシステムの有効性を幅広く検証する。
同センターは従来科学的実証が難しかった各療法の認知症に対する働きを可視化し解析することで、非薬物療法におけるエビデンスの強化と、効果的な各療法の確立を目指す。そして両者はこの度の成果をもとに、ニューノーマル時代、有事の際にも高齢者が遠隔で適切なサービスを継続的かつ安定的に受けられ、健康で幸福な生活を送れる環境づくりに寄与していく考えだ。