産業保険システムの新常態、データ駆動・個別最適アルゴリズムにて

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、新たな生活様式が確立されつつある。ニューノーマル時代の働き方として、企業ではテレワークが急速に普及し、場所や時間を問わない勤務形態へとシフトする動きが高まっている。

テレワークを基本とする勤務では、従業員一人ひとりのメンタルヘルスケアを組織的に実施することが難しく、各自による心身の健康への気づきとセルフケアが重要になる。一方で、高ストレス者や長時間労働者に対する産業医面接などの産業保健を遠隔で実施するにあたり、従業員の健康状態の的確な把握と指導が求められているという。

富士通は、テレワーク下における従業員の心身の健康のセルフケアや非対面で行う遠隔産業保健をトータルに支援する、ニューノーマル時代に対応した産業保健システムの実現に向けて、今月22日より、東京大学大学院医学系研究科 川上憲人教授の研究室と共同研究を行う。

「組織ストレスアセスメント e診断@心の健康」を用いて毎日または毎週実施するパルスサーベイ(組織・個人間の健全度合い測定)と、富士通研究所のAI表情認識技術により、従業員の心身の健康状態などを判定するデータドリブン型アルゴリズムを、川上研究室の認知行動療法の知見等を活用して開発。健康状態の判定結果と年齢や性格特性などの属性情報を組み合わせ、一人ひとりに最適なアドバイスを導くアルゴリズムも開発する。

上記アルゴリズムで導出された結果のフィードバックや、アドバイスに基づく従業員のセルフケアの状況を産業保健スタッフが容易に把握できる健康ポートフォリオを設計し、有効性を検証する社内実践を行う。富士通は今回の成果をもとに、「e診断」などの企業向けソリューションや個人の健康医療情報管理基盤「FUJITSU ヘルスケアソリューション」と連携する新たな産業保健PHR(パーソナルヘルスレコード)サービスを21年度中に提供予定だ。