DX事例!銀行は400支店で決算書管理をペーパーレス化

全国におよそ400ある各支店が取引先企業から入手した決算書を東京の財務分析センターに集約している。その銀行は、そこでその決算書を社内システムに登録する体制を敷いていて、支店側もセンター側も紙の決算書を前提として業務を行ってきた。

従来手法では、郵送費用と労力および文書管理コスト、情報漏洩リスクなどが問題となっていた。書類に不備があった際には支店へ再送依頼するため2日程度のロスが発生するうえ、決算書の勘定科目を正確に読み解くのにノウハウが必要なため、慢性的な人材不足やピーク時対応として中国へアウトソーシング――即ち、外注費が生じるといった課題もあり、改善が求められていた。

みずほ銀行は2018年に決算書のOCRによるデータ化などの技術を積極的に取り入れ、ペーパーレス化を目指すこととした。そして今月6日、TISインテックグループのTISは、同行の約400支店からの決算書送信やセンターの登録業務をペーパーレス化するワークフローを構築し、業務効率の向上を支援したことを発表した。

TISはシステム全体のワークフローを提案――OCRによるデータ化だけでなく、同行の意図をくみ現状フローの課題を踏まえたシステムの全体像を提案した。同社は短期間で本番を想定した解析テスト~完了報告までを終えていて、OCRによるデータ化の精度に信頼を置くことができた。これらが選定理由だという。財務諸表入力ソリューションを活用して構築された新ワークフローシステムはすでに、昨年11月より本番稼働中である。

新ワークフローにより、みずほ銀行は登録業務時間を最大約60%削減。最高で月間約16,000件あった、紙の郵送および管理コストを削減し、情報漏洩リスクも改善した。決算書の取り扱い業務について、OCRによるデータ化で人手を介さず特殊能力も不要にして、正確に決算書情報が読み込めるようになり、人材不足の課題も解消されたという。