業界初!EV用ワイヤレス・バッテリ管理システムを量産車へ

電気自動車(EV)は現在、全世界の自動車販売台数の2%を占めている。この数字は今後10年間で15倍になると予想されていて、急速充電を可能にするしくみの導入は、より環境に配慮する顧客の増加や、炭素ガス放出削減と燃料効率向上を求める規制によって加速している。

今月13日、アナログ・デバイセズ(NASDAQ:ADI)は、業界初のワイヤレス・バッテリマネージメントシステム(wBMS)を発表した。このシステムを採用することで、自動車メーカーは設計の柔軟性を高め、EVモデルを横断的に、幅広くマスプロダクション化できる。wBMSは、量産型EVに利用可能な初めてのしくみであり、米ゼネラルモーターズのUltiumバッテリ(関連記事:GM News)を搭載した量産車に採用される予定だ。

wBMSを実装した自動車は、従来の通信用ワイヤ・ハーネスが不要となるため、配線量を最大90%、バッテリ・パックの体積を最大15%削減でき、設計の柔軟性が向上し、製造も容易になる。バッテリの全寿命にわたって、航続距離や精度の低下が起こることもないという。

同システムは、電源、バッテリ管理、RF通信、およびシステム機能に必要なすべての集積回路、ハードウェアとソフトウェアをシステム・レベルの単一製品に組み込み、業界をリードするアナログ・デバイセズの定評あるBMSバッテリ・セル監視技術(参考記事)を基盤とした、ASIL-D安全規格と、モジュール・レベルのセキュリティに対応する。

画期的なUltiumバッテリ・プラットフォームに組み込んだ当該技術を、量産車に搭載していくとGMのエグゼクティブが意気込む。EVのライフサイクル全体で高い精度を提供する、wBMSは、航続距離の延長に要するセルあたりの電力使用量を最大化し、特にリン酸鉄リチウム(LFP)など――安全で持続可能な"コバルト使用ゼロ"のバッテリにも対応しているとのことだ。