あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が各種産業、社会および生活インフラ、医療分野にも広がりつつある。昨今、サイバー攻撃が高度・巧妙になっていて、IoT化した設備や機器にもその対策が求められている。
各種IoTデバイスのセキュリティ対策として、認証鍵を集積回路(IC)の外から書き込み、それをIC内部のメモリに保有し続けていた。これまでのしくみではしかし、認証鍵を抜き取られ、さらにデータそのものが抜き取られたり改ざんされるリスクもあり、ユーザー側での安全な環境構築が必要であったという。パナソニックのインダストリアルソリューションズ社は多機能セキュアICを新開発。そのサンプル出荷を2月に開始する。
独自のセキュリティー機能を有し、IoT機器や工場等の産業機器に追加実装するだけで、それらの安全性を向上するという。今回の製品は、IC内部で固有の認証鍵を生成・保有、使用後に消去することで鍵の抜き取りをブロックし、重要データを強固に保護する。近距離無線通信(NFC)機能や、放射線耐性が高いメモリー(ReRAM)を搭載しているため、インターネット非接続ないし医療用の機器などへの適用が可能となる。
ICごとに異なるアナログ情報――人間の指紋のように各々異なりコピーできない「ICの指紋」から鍵を生成する。この認証鍵でデータを暗号化するため、メモリー内のデータ窃取・改ざん耐性が向上する。さらに、セキュアIoTプラットフォームとの連携機能を有する同製品では、製造~廃棄/再利用つまりライフサイクル全体にわたって安全性の確保が可能となる。
IoT機器や利用者の真正性、データ完全性の確保などを行い、システムの有効性を担保する基盤を提供するトラストサービス事業者らと連携し、制御システムに関するセキュリティ基準IEC62443への適応を容易にするという。同社は、安心安全なIoT社会の実現に貢献していく構えだ。