患者の待ち時間削減に向けて窓口会計を不要にする「料金後払いシステム」を導入、順天堂医院

医療機関での待ち時間といえば、診察時と会計時が挙げられる。会計は、高額な支払いや土日の退院時に集中して混雑するため、並ばなくてはならないことがある。会計の待ち時間を解消する新たな取り組みとして、窓口会計を不要にする「料金後払いシステム」を導入する医療機関が増えている。

順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下、順天堂医院)は、会計の待ち時間を解消する新たな取り組みとして、グローリーの医療業界向け「料金後払いシステム」と富士通の医事会計システム「FUJITSU へルスケアソリューション HOPE X-W(ホープ エックス-ダブリュ)」(以下、HOPE X-W)を連携させた「料金後払いシステム」の運用を2019年4月から開始する。これにより、患者は診察後に支払窓口で会計をすることなく、帰宅が可能になるという。

順天堂医院は、高度医療を担う特定機能病院として、37の診療科と1,032床の病床を有し、1日約5000人の外来患者の診療を行っている。同医院は、これまでもグローリー製の診療費支払機を導入し、会計窓口の混雑や待ち時間の緩和・解消に取り組んできた。外来患者の増加に伴い、さらなる改善が必要になっていた。そこで順天堂医院は、後払いを希望する患者が事前にQRコードを読み込み、申請画面へ必要情報を登録することで、支払窓口での会計処理が不要となる料金後払いシステムを導入した。

同システムでは、事前に患者自身のPCパソコンやスマートフォンで、順天堂医院で配付されるQRコードから後払い申請画面にアクセスし、診察券番号やクレジットカード情報、メールアドレスなどを登録する簡単な申請手続きで即日から利用できる。事前登録した患者さんは、診察後に支払窓口で会計をせずにそのまま帰宅できる。クレジットカードによる料金後払いのため、現金の持ち合わせがなくても受診が可能だ。患者のシステム利用料金は無料。現金払いに抵抗のある外国人患者に対しては、システムを利用しやすいように、英語、中国語、韓国語にも対応する。

順天堂医院のメリットとしては、富士通の医事会計システムであるHOPE X-Wと連携することで、これまで人が処理していた入金確認や入金消込などの管理作業を自動化し、会計事務業務の大幅な効率化が図れる。従来は会計窓口で発行していた領収書と診療明細書を、無人端末で発行できる。

順天堂医院では、2020年3月までに料金後払いシステムの利用者数を外来患者の約30%に高めることを目指しており、混雑や待ち時間が緩和・解消された快適な院内環境の提供、会計事務業務の効率化を推進する。

また、外国人医師による診療を可能とする特区認定を受けている順天堂医院は、2020年に向けた訪日外国人患者の増加を見据え、各種案内の多言語化や礼拝室の設置など、院内の国際化整備を進めている。外国人患者のさらなる利便性向上のため、今後、料金後払いシステムの対応言語の拡充も検討するという。