仙台市とNTTデータ東北、行政事務におけるRPAツール利活用の有効性を確認

NTTデータ東北は仙台市と、平成30年9月に協定を締結した「行政事務におけるRPAツール利活用の有効性確認の実証」に関する結果報告会を開催した。行政事務6業務について作業時間削減効果が70%以上あったことを公表した。

実証では、NTTデータが提供するRPAツール「WinActor」を利用して6業務のシナリオを作成し、改善効果の検証を行った。また、効果検証後には実証に参加した職員へのアンケート調査を行い、行政事務におけるRPAツール適用に関する意見の収集・分析も行った。

対象業務の選定にあたっては、各担当課に実証業務を募集し、候補として挙がった業務の中からRPAの効果が見込まれる業務を一次選定。実際の操作確認や運用フローのヒアリングなどを経て最終的に6業務を選定した。

・労務課:アルバイト雇用保険料の集計
・情報システム課:庁内LAN端末の脆弱性対応に関する周知作成
・情報システム課:庁内LANにおけるウイルス検知端末のネットワーク切断
・財政企画課:ふるさと納税寄付者発送関係資料の作成
・財政企画課:ふるさと納税統計資料の作成
・財政課:収入・支出予定データの集約と会計システムへの入力

検証の結果、対象業務の作業時間削減率はそれぞれ70%を超え、RPAツール適用による高い削減効果を確認できたという。

また、情報システム課の「庁内LANにおけるウイルス検知端末のネットワーク切断」業務については、「ロボットが職員に代わってウイルス検知メール受信を常時監視し、有事の際には決められたルールに則って処理を行う」というシナリオを作成・検証し、職員の手を介さずに迅速かつ正確な対処が可能であることが確認できた。

NTTデータ東北によると、これまでの「作業時間削減」を中心としたRPAツール適用に留まらない、新たなRPAツール活用手法と位置付けることができるという。

職員アンケートでは、「作業そのものを見直すきっかけとなり業務改善につながる」「一般的なシステムに比べて容易に導入が可能である」など、RPAツール活用を評価する声があった。一方で、「RPAツールを本格導入し、運用していくには標準ルールやフレームワークの策定が必要」といった、今後検討すべき課題についても率直な意見が寄せられた。

NTTデータ東北では、今回の実証により一定の削減効果を測定でき、行政事務におけるRPAツールの有効性を確認できたと考察する。加えて、今回作成したシナリオでは、各行政事務において共通する「システム登録」や「ファイル加工・転記・修正」などの処理を網羅的に組み込んで実証したことで、RPAツールが行政事務へ幅広く適用可能であることが確認できたという。

一方で、RPAツール導入に関する方針やルールの策定、推進体制の構築といった導入・定着に向けて取り組むべき課題も明らかになった。今後、NTTデータ東北は本実証で得られた成果や知見を活かして、RPAツール活用による行政事務の改善の支援に継続的に取り組んでいく予定だ。