臨床研究の現場では近年、生体試料の高感度分析と高速処理がLCMS(液体クロマトグラフ質量分析計)により可能となっている。同分析計の登場に伴い、血液中の薬物濃度のモニタリングやバイオマーカーの探索、代謝の評価が普及してきた。
一方、血液分析には前処理が欠かせず、病原体を含んだ感染性試料の処理も要するため、大量のサンプル測定では時間及び業務負担に課題が残っていたという。島津製作所は、'15年に全自動LCMS前処理装置「SCLAM-2000」を発売して以来分析業務の効率化を提案、'17年には同製品を医療機器クラス1に登録した。そして今月7日、同製品の後継機となる「CLAM-2030」の販売開始を発表した。
これまでLCMSで血液サンプルを測定する際、試薬の添加・混合、徐タンパク液の添加といった前処理工程に15~20分かかかっていた。それに対して、前処理が3~8分で完了し、さらにオートサンプラーが容器をLCMSに自動で搬送するため、サンプルや試薬を専用容器に入れてセットしておくと、装置が無人で休日や夜間のうちに全工程を処理するという。
「最大60検体の処理が可能」、「正確性・再現性向上・管理機能により信頼性向上」、「操作ミスや感染リスクを低減」といった特長を備えた新製品、「CLAM-2030」は医薬品医療機器法に基づく医療機器として承認・認証等を受けていないものの、臨床研究現場の要求に応えてデータ取得の安定化、ランニングコストの低減、業務効率の向上が実現されている。
今回の新製品は、「LCMS-8060」などトリプル四重極型液体クロマトグラフ質量分析計の4機種への接続が可能であり、免疫抑制剤分析キット「DOSIMMUNE」と組み合わせて使えば業務効率がさらに向上するという。島津製作所は、今後も医療分野で革新的な製品・サービスを創出し続け、医療従事者および患者の力になっていく考えだ。