仮想化技術で、車載HMI製品の協調制御を実現

デンソーとBlackBerryは、自動車のコックピット内の情報マネジメントを行うHMI技術として、世界初となる統合HMIプラットフォームを共同開発した。2019年以降に順次車両搭載予定で、表示や音声など各種のHMI製品を最適に連携、協調できるシステムを構築できる。製品開発には、Intelも協力している。

近年、自動車の安全性や利便性の向上に伴い、車両がドライバーに伝える情報は増加し、車室内には複数のHMI製品が搭載されている。それぞれのHMI製品を作動させるためには、その特性に合わせ個別に複数のOSが必要だ。例えば、安全性に関わるメーターには高い信頼性、マルチメディアディスプレイには最先端の表示を実現するOSが求められる。従来、これらのOSは複数のマイコンで個別制御されており、表示内容や音声を複雑に連携、協調させることはできなかったという。

今回両社が開発した統合HMIプラットフォームは、BlackBerryの仮想化技術「QNX Hypervisor」を、「インテル Atom プロセッサー A3900シリーズ」(開発コード名:Apollo Lake)に搭載し、世界で初めて自動車のコックピットに応用した。仮想化技術は、特性の異なる複数のOSを独立化させ、一つのマイコンで統合制御することでHMI製品同士の連携、協調を可能にする。これにより、必要な情報を適切なタイミングで適切な機器に表示できる。

例えば、運転中の車両周辺やドライバーの状況に応じた注意喚起・警告を分かりやすい表現で、分かりやすい表示器へ、違和感のないタイミングで表現する。また、液晶で構成されたメーター画面とセンターディスプレイを連携することで、一体感のあるアニメーション表示やメーター画面内へのナビ画面の一部表示などを可能にした。

さらに、メーター画面とセンターディスプレイ画面に高い描画力が必要な場合も、一つのマイコンを性能更新することで双方の機器への描画に必要な処理性能を確保でき、商品力向上とコストダウンの両立に貢献するという。