ドローンのデータ加工・診断機能を強化

国土交通省が主導して建設生産システム全体の生産性向上をめざす取り組み「i-Construction」においてドローンの活用が推奨されるなど、ドローンの利用が急速に拡大している。しかし、劣化箇所の位置を迅速・正確に特定し、構造物全体を一元管理する際には現状課題がある。

国土交通省が主導して建設生産システム全体の生産性向上をめざす取り組み「i-Construction」においてドローンの活用が推奨されるなど、ドローンの利用が急速に拡大している。また、橋梁やプラント、ビル、マンションなどの高所、広範囲の点検時にドローンを活用して安全かつ効率的に劣化状況を把握したいというニーズが増えている。

ドローンを活用した点検では大量の写真を撮影し、その中のひび割れなどの劣化箇所を発見、管理する。しかし、撮影した一部の写真から劣化箇所が構造物のどこに位置するかを特定するには多くの時間を必要とする他、過去の写真との比較により劣化の進行具合を確認することは非常に困難だった。このような背景から、劣化箇所の位置を迅速かつ正確に特定し、構造物全体を一元管理できる製品やサービスが求められていた。

日立システムズは、ドローンの操縦や撮影代行、撮影した画像の加工と診断、データの保管・管理、業務システムとのデータ連携を一括で支援する「ドローン運用統合管理サービス」を強化した。今回強化したのは、ドローンで撮影した2次元画像(写真)から構造物全体の3次元モデルをクラウド上で生成し、構造物の劣化箇所が全体のどこにあるかをひも付けて管理できる機能。

具体的には、スイスのPix4Dの航空写真測量ソフトウェアの画像処理技術を用いて、ドローンで撮影した大量の画像データから3次元モデルを生成するサービスをクラウド上で提供する。これにより、ドローンで撮影した大量の2次元画像(写真)から、構造物全体の3次元モデルを容易かつ高速に生成できるため、作業効率の向上に役立つ。

また、オートデスクのAPIプラットフォーム「Forge」と日立システムズが開発した技術により、2次元画像(写真)と生成した構造物全体の3次元モデルとをひも付けて表示できる機能を提供する。ユーザーが劣化(さびやひび割れ等)の写った2次元画像(写真)をクリックするだけで、3次元モデル上に該当する位置が表示される。劣化箇所が構造物全体のどこにあるかが把握できる。また、3次元モデル上で目印を付けたり、拡大表示、コメントを追記できる。

さらに、今後、AI(人工知能)などの技術を活用し、画像データから劣化を自動的に検出する機能も開発する。これにより、3次元モデル上に劣化箇所を自動的に目印を付け表示できるだけでなく、過去に撮影した画像データと比較して、劣化の進行具合を把握することも容易になるという。