IoTに最適化された独自のOS「FRIDAY」
そしてそれらを繋ぎ止めるのがスマートフォンや、スマートスピーカーの存在だ。特にスマートスピーカーの登場はスマート家電やIoTという言葉を広く普及させるのに貢献し、家庭のスマート化を推し進める存在となっている。
しかしながら、スマートスピーカーやその他家電とのネットワーク環境を構築しても、それを活用するためのインタラクティブな操作環境が視覚的に制限されている点が大きな難点と言える。通常のコンピューターやインターネットはWindowsに代表されるように、オペレーティングシステムによってある程度の制御がなされ、ビジュアルとしてその動作環境を理解できるようになっているものだが、スマートホームにおいては未だそのような環境は整いきれていない。オープンソースのハードウェアに自ら接続するのも難易度の高いスキルが要求され、一般的な使い勝手の範疇を上回るものであると言えるだろう。
また、そういったものは通常効果であるため、いずれにしろ一般人が軽々と触れることのできるものではないものだが、IoT環境に最適化されたOSとして現在開発が進んでいるのが「FRIDAY」と呼ばれる独自のプロダクトだ。
オフラインで動作するスマート家電向けOS
FRIDAYと名付けられたこのオペレーティングシステムの大きな特徴は、まずオフライン環境でも動作する点にある。スマート家電によってはインターネットに接続せず、家電同士で独自のネットワークを構築し、それによってインターネットという外部のネットワーク環境に依存することがなくなり、常に安定したパフォーマンスを発揮することができる。
FRIDAYはそういった環境においても利用されることを想定しており、どのようなスマート家電であってもインタラクティブに機能してくれるだろう。
スマートスピーカーの最大の特徴はボイスアシスタント機能にある。通常のスピーカーとは異なりオーディオを再生するだけでなく、スピーカーも自らユーザーの声に耳を傾けることで、ユーザーが望んでいるリクエストを理解し、その意向に沿った命令を他のスマート家電へと送信する。
これまではスマートフォンやリモコンなどを通じてこのような操作は行っていたが、スマートスピーカーはいわばリモコンが音声操作に取って代わり、スピーカーそのものがネットワークに接続され、入力が可能になったリモコンとして機能しているのだ。
このような優れた機能を持つスマートスピーカだが、そこに搭載されているボイスアシスタント機能はプログラミング言語のC#のみで動いていることをFRIDAYの開発チームは発見。プログラミング言語は複数を併用することでハードウェアを複雑に動作させることが可能になるものだが、逆を言えば複雑なコーディングがなされているものほどその機能をシステマティックに分析するのは難しく、応用も難しいものだ。
多くの人に開かれたボイスコントロール機能を活用
しかしながらボイスコントロール機能は一つの言語、それも比較的難易度が低いとされる言語によって機能していたため、今回のFRIDAYのようにサードパーティによる開発も比較的容易におこなうことができる。
スマートスピーカーはモノのインターネットを支える上で重要な役割を担うだけでなく、そのかなめとなるボイスコントロール機能をシンプルなプログラミングで可能にすることで、さらなる市場の活性化、ひいてはネットワークを大きく押し広げてくれるような役割も果たしてくれるのである。
FRIDAYはまだ開発途中であるが、2019年の11月にはアーリーアクセス版として製品の試作が利用できるようになる予定だ。2020年の3月には正式リリースを行えるということだが、出資者にはアーリーアクセス版がまずは普及されることとなっている。
FRIDAYは現在Kickstarterで出資者を募っており、2000円の出資でオリジナルTシャツが、4000円の出資でオリジナルパーカーを受け取ることができ、出資金は開発資金に利用される。また、オーストラリア国内向けにはオフィス訪問などのリワードが付属するプランも用意されているため、現地に在住する人にとってはサポートのしやすいローカルなプロジェクトと言えるだろう。